GoPro の画質担当者であるアレックス・キャッシュマンと画像処理を担当するシニア エンジニア、ナガシマ・ケイタが、HERO7 Black の新機能であるスーパーフォト モードの秘密を紹介します。

2018 年秋に発売された HERO7 Black は、「スーパーフォト」と呼ばれる新たに強化された写真モードを搭載しています。簡単に言うと、スーパーフォトは GoPro 史上最も高度な静止写真機能です。

スーパーフォトを有効にすると、HERO7 Black が撮影対象のシーンを分析し、最適な補正処理をインテリジェントに選択します。このため、撮影環境が変わっても、毎回可能な限り最高の画質で撮影できます。これまでのように勘に頼り、撮影のたびに設定の変更やカスタマイズを行う手間がなくなるのです。

スーパーフォトには、「HDR」「自動」という 2 つのオプションがあります。HDR では、HERO6 Black と同様のハイ ダイナミック レンジの写真を撮影できます。一方、「自動」では、ダイナミック レンジ、自然光、シーンの動きなど、シーンのさまざまな統計が分析され、次の 4 種類の画像処理方法のいずれかが自動選択されます。

  1. ハイ ダイナミック レンジ
  2. ローカル トーン マッピング
  3. マルチ フレーム ノイズ低減
  4. 標準 (または無し)

それぞれの画像処理方式の仕組みについて分かりやすくご紹介するために、ここではスーパーフォトで撮影する際に何が起きているのかを簡単に説明します。

プロからのヒント: HERO7 Black のスーパーフォト モードは「自動」に設定することをお勧めします。きっと、決定的な瞬間を逃さない素晴らしさを実感できるはずです。

ハイ ダイナミック レンジ (HDR)

GP1 チップの機能を生かした HDR は、HERO6 Black で初めて導入されました。露出を変えながら複数の画像をすばやく連続撮影し、それらをインテリジェントに組み合わせることで、1 つの画像ができあがります。HDR は明暗部を細部まで捉えます。夕日や逆光のなかでセルフィーを撮影する場合に HDR を使うと、これまでの GoPro では捉えることのできなかったディテールを表現できます。 

このマルチフレーム方式は極小の画像センサーの弱みをインテリジェントに解決しています。ただし、HDR は究極のソリューションではありません。この方式では、画質の劣化現象が発生するおそれがあります。

このような現象は主に被写体が動いている場合に見られ、画像を組み合わせるときに「ゴースト」が発生することがあります (下の曲芸師の写真でゴーストが発生しています)。また、光量が少ない場合は、露出がフレーム間で異なっているためにノイズが増加することがあります。このため、HDR は風景のように十分な光量があり、ほとんど動きのないシーンに最適です。    

ローカル トーン マッピング

スーパーフォトを「自動」に設定しても、動きが多すぎて HDR を使用できない場合は、「ローカル トーン マッピング (LTM)」と呼ばれる処理が使用されます。LTM によって画像が分析され、草 (下の写真を参照) や犬の毛並のような細部が写っていない部分に補正が適用されます。    

LTM は、HDR のように明暗部の細部を捉えるための機能ではなく、HDR や「標準」の写真で写せない細部を補正することを意図しています。できあがった写真は、きめ細かく、コントラストが効いたリアルな質感になります。偽物のように見えたり、鮮やかすぎたりすることはありません。

マルチ フレーム ノイズ低減 (MFNR)

すべての小型カメラが低光量での撮影を苦手としているのは、小型の高解像度画像センサーによって大量のノイズが発生するためです。スーパーフォトの「自動」では、暗いシーンに対して「マルチ フレーム ノイズ低減 (MFNR)」と呼ばれる高度なノイズ低減アルゴリズムが使用されます。

HDR と同様に、MFNR では連続撮影した複数の画像が分析され、1 つの画像が作られます。結果的に、ノイズを大幅に低減した自然な画像ができあがり、従来のノイズ低減方式よりも細部がきれいに残ります。    

また、MFNR を動きの多いシーンに使うと画像に不具合が生じる場合があります。これも HDR と同様です。非常に多くの動きが検出されると、MFNR ではなく、その次に適した方式がスーパーフォトに使用されます。

標準の写真

シーンが HDR、LTM、MFNR いずれの基準も満たさない場合は、スーパーフォトの「自動」に標準の画像処理方式が使用されます。このような写真は、HERO7 Black の通常の写真モード (シングル、バースト、タイム ラプス) と同じように処理されます。GP1 チップの機能を生かし、標準の写真すべてに WDR 処理が適用されます。WDR は、HERO5 Black シングル フォト モードに初めて導入されました。

重要な注意事項

  • スーパーフォトは、HERO7 Black のシングル フォト モードでのみ利用できます。
  • スーパーフォトの処理は、通常の写真よりも少し時間がかかります。処理時間 (通常は 1~3 秒) は、シーンおよび使用する処理に応じて若干異なる場合があります。    

GoPro は各世代で、小型カメラで実現できる静止写真用機能の限界に挑んでいます。長年にわたり研究、開発、調整、テストを重ねてきた結果、晴れた日のスキーや夜の街の散歩など、どんな場面でも確実に写真を撮影できる、とてもシンプルな方法が誕生しました。困難な作業でしたが、ユーザーの皆様にとっては便利な機能になっているはずです。ですから、この機能を「スーパーフォト」と名付けました。